調査カード

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シリガー跡

宇茂佐後山(フシヤマ)の森の裾野と伊森(ウィミー)に北と南から抱かれるようにしてシリガーはいつでも静謐なたたずまいを見せていた。海石で組まれた低めの石垣と床面は長方形の20畳くらいの広さ(?)だっただろうか。苔むした床面はいつも濡れてしっとりとしていて清潔だった。カーの水は清らかで口に含むと甘い味と香りがした。集落の各家庭の井戸は海の潮が地下の地層に入り込み塩辛く飲料水に適していなかったのでシリガーから水を汲んでいた。年寄りだけの家では孫や親戚の人が水運びをした。旧正月には「ミイミジ」と称して朝早くここから水を汲んで年始めのお茶をたて新年を祝った。

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